当院の敷地には50種にも及ぶ桜の木があります。春になると院内はピンク色に染まり、美しい光景がひろがります。早春には、一条通りに沿って、寒緋桜が咲き、春の訪れを知らせてくれます。陽春には敷地内のあちらこちらに、染井吉野、紅八重しだれ、朱雀などの花が開きます。

そして晩春には関山、松月、鬱金などがつぎつぎと開花し、患者さまや病院を訪れる皆様、職員の目を楽しませてくれます。とりわけ、花びらが緑の御衣黄と呼ばれる珍しい桜があり、観光客から、「どこにあるのですか。」と尋ねられることもあります。

桜を眺めながらのリハビリや家族との散歩、語らいは穏やかな時間が流れ、闘病や療養をされている患者さまの心を和ませてくれます。
一説によりますと、この一条通りには造園家が多く住んでいました。造園地には色んな品種の桜の木や苗木があったのですが、戦時中食料が不足となり、畑に転用されることになりました。造園家たちはその苗木を切り倒すのにしのびず、当院に疎開させたといわれています。

また病院の西方に“桜博士”と呼ばれた先代の佐野藤右衛門氏の桜園があります。戦時中に、警察から鑑賞用の桜を伐採し、食料増産に励むようにと命ぜられて、先代佐野氏は泣く泣く桜の苗木畑を藷畑にしたそうです。その時、苗木を当院の敷地の方々に植えられたそうです。
いずれの説も歴史があり、今では京都の桜のかくれた名所となっています。