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リハビリテーション科

特色

病気には薬や手術で治療しても後遺症の残るものや、根本的な治療の困難なものがたくさんあります。少子高齢化社会の到来で、少しでも人間らしい生活を送るため病気をしてもなるべく自宅で過ごすことの重要性が認識されつつあります。残された機能を生かし、病院での治療と日常生活の架け橋となるのがリハビリテーションです。

特に当院は、神経・筋疾患(パーキンソン病・脊髄小脳変性症・多発性硬化症・筋ジストロフィーなど)、脳血管疾患、リウマチ性疾患、整形外科的疾患を中心に治療を行っています。

平成13年4月に「リハビリテーション総合承認施設」として認定され、充実した人材・施設を有していると自負しています。基本的な生活動作訓練の他、高次脳機能の評価にも力を入れています。

スタッフ

リハビリテーション科医師 医長田原 将行
医師山本 兼司
医師梅村 敦史
医師堤  健雄
医師白石 一浩 他小児科医師
医師安東 慶治 他整形外科医師
理学療法士 21名
作業療法士 7名
言語聴覚士 7名
心理療法士 3名
【資格】
  • 認定理学療法士(呼吸) ・・・・・・・・・・・・・ 1名
  • 認定言語聴覚士(摂食・嚥下) ・・・・・・・・・・ 2名
  • 認定言語聴覚士(失語・高次脳機能障害)・・・・・・ 1名
  • 3学会合同呼吸療法認定士 ・・・・・・・・・・・・ 2名
  • 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士 ・・・ 1名
  • 日本静脈経腸栄養学会認定NST専門療法士   ・・・・・ 1名
  • LSVT®BIG認定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10名
  • LSVT®LOUD認定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4名
  • 福祉住環境コーディネーター2級 ・・・・・・・・・ 5名
  • 福祉情報技術コーディネーター2級 ・・・・・・・・ 1名
  • 臨床心理士 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名
  • 認定心理士 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名
  • 上級心理カウンセラー ・・・・・・・・・・・・・・ 1名
  • 芸術療法士 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名
  • 介護支援専門員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名

理学療法部門

理学療法とは

理学療法理学療法とは主に起き上がる・座る・立つ・歩くなどの基本的動作能力の回復を目指します。そのために関節運動・筋力増強運動・起き上がり動作練習・起立歩行練習などを行い、日常生活や社会生活活動に結び付けていきます。また、必要に応じて装具の活用や物理療法(温熱)なども組み合わせて治療を行います。

パーキンソン病に対するリハビリテーション ― LSVT®BIG -
パーキンソン病に特化した運動療法
LSVT®BIGとは

LSVT(Lee Silverman Voice Treatment)®BIGとはアメリカで開発された、パーキンソン病に特化した運動療法で、他のリハビリテーションプログラム(ノルディックウォーキング、自宅での自主練習など)よりも、治療効果は高いと言われています。LSVT®BIGは、その治療効果を国際的に維持するために商標登録化されており、臨床で実施するためには研修に参加し、認定試験に合格して認定を取得する必要があります。

宇多野病院の有資格者
  • 理学療法士 9名
  • 作業療法士 1名
宇多野病院における実績

当院では2012年にLSVT®BIGを導入し、2017年9月までに延べ約280名の方に実施しました。
ほぼ全員の方で歩行能力、バランス機能、日常生活動作能力などが改善しました。また当院のデータによると、特に無動あるいは動作緩慢のある患者さんによい結果がみられました。さらにプログラム終了後に追跡した結果、歩行能力は12か月間効果が持続したことがわかりました。

  • 家族に歩き方が良くなったと言われた
  • 歩幅が広くなった
  • 姿勢が良くなった
  • すくみ足が減った
  • 趣味をしやすくなった

などなど、さまざまな感想をいただいております。

LSVT®BIGの目的

動作が小さくなることがパーキンソン病の特徴の一つですが、さらに感覚統合異常のために本人は自分の動作が小さくなっていることに気づいていません。LSVT®BIGは動作の大きさに焦点を当てた運動プログラムで、集中的に高い努力で、意識して大きな動作を行うことで脳神経の可塑性(機能的・構造的変化)を促し、感覚運動システムの再教育を行います。そうすることで動作緩慢や運動機能を改善し、さらには日常生活動作能力も向上させていくことを目的としています。

LSVT®BIGの対象

H&Y分類1~3のパーキンソン病で、日常生活が自立されている方が対象となりますが、発症早期で運動障害が軽い方のほうが効果は高いと思われます。

  • 例えば、歩きにくくなってきた
  • 姿勢が悪くなってきた
  • 歩くのが遅くなったと言われる

また、痛み(腰痛、膝痛など)や極度の異常姿勢のある方も実施可能ですが、注意は必要となります。

スケジュール

当院に入院していただき、LSVT®BIG認定セラピストと1対1で、1回60分のセッションを週に連続4日4週間、合計16セッション行います。また、退院後は1年間、定期的(退院後1か月、3か月、6か月、9か月、12か月)に外来でフォローアップしていきます。

作業療法部門

当部門では、種々の障害によって日常生活や社会生活の作業遂行に不安や支障がある患者さまに対して、きめ細かい治療訓練を行なっています。

作業療法とは

作業療法 種々の障害によって日常生活や社会生活の遂行に支障がある患者様に対して、それぞれの方の状態に応じた個別訓練を行っています。治療のためにボールやブロック、棒などの治療用器具の使用、革細工やちぎり絵など手工芸を治療の中に取り入れ、日常生活に必要な動作を獲得していくことを目指していきます。

作業療法プログラムについて
作業療法プログラム
日常生活動作・生活関連動作の練習
  • 患者様の状態に合わせて食事やトイレ、着替え、身だしなみを整えるなど日常の生活動作が少しずつ自分で出来るように練習をします。また、退院後の生活に向けて炊事や家事動作の練習も行っていきます。
  • 食指の練習で箸やスプーンなどが上手く持てない、字が書きにくいなどの場合は患者様の状態を評価して機能の回復を促す治療を行ったり、使いやすいように道具やテーブルの高さを整えたりするなど環境や設定を工夫しながら練習していきます。
  • 実際に手工芸の過程を通して物を操作する・触ることが日常生活に必要な姿勢を保つことや、動作能力を回復・維持するために有用と考えています。
意思伝達装置や呼び鈴操作などを用いたコミュニケーションの練習
  • 言葉で伝えることが難しい方には、患者様・ご家族・医師やスタッフと協力しながら状態に合わせて文字盤や意思伝達装置を導入・練習を行います。
  • 呼び鈴の操作が難しい方には、操作しやすいように環境の設定やいろいろなスイッチの導入について評価し検討します。

以上、当部門では、患者様の身体の状態に合わせて、興味や意欲を持って治療に取り組んでいただけるように努めております。

言語聴覚療法部門

言語聴覚療法とは

言語聴覚療法部門言語聴覚療法室では、脳卒中や頭のケガ、神経や筋肉の病気などにより、声を出したり話したりすることが難しくなった方、食べ物や飲み物を飲み込むことが難しくなった方々への支援を行っています。また、家族や周囲の方々へ、よりよいコミュニケーション方法や、安全な栄養摂取方法についても説明し、在宅生活の支援を行っています。

当院の言語聴覚療法で対応していること
構音・音声障害について
  1. 構音障害とは

    構音(こうおん)障害とは、ことばの機能を担う舌や唇、喉などの神経の損傷により、発声・発音・アクセントなどが障害されることです。この結果、「呂律が回らない」「正しい発音ができない」といった症状があらわれスムーズに話せなくなります。

    神経筋疾患では、疾患の進行とともに、症状も進行することがあります。その症状は疾患のタイプによりさまざまです。ことばの機能の維持・改善のためにも、早めにことばの訓練を始める・筆談や拡声器など障害された機能を補う手段の獲得が必要となります。

    脳血管疾患や頭部のケガでも、舌や唇などの麻痺により構音障害が出現します。早めに発声や発音の訓練を始めることにより、障害された機能の回復を目指します。

  2. 評価

    発音の検査、呼吸機能の検査、音響分析などを用いて構音障害のタイプ、重症度及び特徴を評価します。音響分析とは、目に見えない音声を、図形や数値などの目に見える形で示すことで、声の状態をより客観的に把握し、治療につなげていくものです。

    音響分析

    音響分析装置で目に見えない音声を視覚化し治療に活用しています

  3. 訓練

    構音障害のタイプや重症度に応じた呼吸・発声・発音訓練を行います。また、障害された機能を補う手段の獲得を目指します。以下にいくつかの例を示します。

    ①パーキンソン病やパーキンソン症候群など…小声に対してはLSVT®LOUDという音声治療の効果が高いとされています(次項参照)。速い発話やすくみ言葉に対してはペーシングボード(右図)というコミュニケーション器具が有効です。

    ペーシングボード

    ペーシングボードとは色分けされた板の上を発話に合わせて指でタップすることにより、発音をゆっくりにしたり、すくみにくくする道具です。

    ②筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症…病状の進行に合わせて発声・構音訓練を行いますが、発声・発音が困難になった場合は、指さしや視線を使って文字盤やパソコンなどで意思を伝える「意思伝達装置」の導入を行います。

    意思伝達装置

    意思伝達装置

    ③脳血管疾患や頭のケガ…呼吸機能に対して、発声のための呼吸がしやすい姿勢の調整や呼吸筋の筋力強化トレーニングをします。発声機能に対して、質の良い発声や適切な大きさ・長さの声を出す訓練をします。構音機能に対して、唇・舌の筋力の強化や正しい発音方法の再学習を目指します。また必要に応じて、ゆっくり話す訓練や抑揚をつける訓練を行います。

LSVT®LOUDについて
  1. LSVT®LOUDとは

    LSVT®LOUD(Lee Silverman Voice Treatment:リー・シルバーマン音声治療)は、1987年にアメリカのRamigらにより開発された、パーキンソン病の小声に対する音声治療法です。治療効果についての医学的根拠が示されています。LSVT®LOUDを受け、自主練習を継続することで2年以上効果が持続したという報告があります。また、病初期からの開始で効果が持続しやすいと言われています。資格者のみが治療可能であり、現在、世界52ヶ国で9200人以上(日本では約500人)が有しています。当院には4名のLSVT®LOUD資格者が在籍し、患者さんの対応にあたっています。LSVT®LOUDでは大きな声で話すことを目標とし、集中的に繰り返し訓練します。そして自分の声の小ささを認識することで、自ら大きな声で話すように意識づけていきます。

  2. パーキンソン病患者さんの声が小さくなる原因

    ①パーキンソン病に伴う運動の問題
    呼吸や発声の筋が固くなる、動きがゆっくりになったり、小さくなったりすることで息が吸いにくくなり、大きな声が出しにくくなります。

    パーキンソン病患者の声②声の感じ方の問題
    パーキンソン病患者さんは、自分の声が小さいことに気づきにくく、自分は普通の声で話している、相手の耳が聞こえづらくなったと思っています。
    右図に、パーキンソン病患者さんの声の大きさを示します。パーキンソン病患者さんの声は、小さい声よりもさらに小さい声なので、通常の大きさの声を出すには、かなり大きな声で話す必要があります。

    ③適度な大きさで話すきっかけの問題
    他者からの「大きな声で話して下さい」という指示には応じますが、自分自身で「大きな声で話そう」と意識して声を出すことが難しいです。

    上記3つの問題がパーキンソン病患者さんの言語治療を難しくしていますが、LSVT®LOUDでは解決できるとされています。

  3. 内容

    週4日連続で1時間の訓練を1か月間(合計16回)行います。当院では、練習期間中は入院し、薬剤調整は行いません。1時間の訓練内容は、前半の30分は持続発声、声域を広げる発声、日常生活でよく使う言葉を大きな声で言います。そして、後半の30分は音読する内容が単語→短文→長文と週ごとに長くなり、4週目には会話を大きな声で行います。訓練中の指示は「大きな声で」のみとします。毎日宿題があり、訓練のある日は1回、ない日は2回行います。宿題は1回あたり5〜10分でできるように構成されています。内容は、訓練の復習と、生活の中で「訓練の時のような大きな声」を使うことです。

    LSVT®LOUDの訓練の様子

    LSVT®LOUDでは、騒音計で声量を測定しながら、声を大きくしていきます。

  4. 当院での実績

    当院でのLSVT®LOUD実施人数の推移

    当院でのLSVT®LOUD実施人数の推移

    疾患別の実施人数

    LSVT®LOUDの訓練の様子

食べることや飲み込むこと(摂食・嚥下)について

私たちは、物を食べるときに、食べ物と認識し、口に入れ、よく噛んで(咀嚼)、飲み込みやすい形状(食塊)にして、飲み込み、胃まで送り込むという一連の動きをしています。この一連の動きのいずれかに異常が起こることを「摂食・嚥下障害(せっしょく・えんげしょうがい)」と言います。

摂食・嚥下障害は、神経筋疾患や脳血管疾患、加齢などによって起こります。たとえば、飲み込む力が落ちることで、食べたものが喉に残ったりします。飲み込むタイミングが悪いと、食べ物が気管に入ってしまうことがあります(これを「誤嚥(ごえん)」といいます)。喉の感覚が落ちてムセにくくなることで、誤嚥に気づきにくくなります。

神経筋疾患においては、徐々に病気が進行していくことから、摂食・嚥下障害も重症化していきます。また、同じ病気であっても、発症してからの年数によって障害の程度が異なることがあります。脳血管疾患の場合には、障害を受けた脳の場所によって障害の程度やあらわれ方が異なります。どちらの場合も、病状を正しく評価し、必要な対応をすみやかにとることが重要です。

当院では、摂食・嚥下障害認定言語聴覚士2名、NST専門療法士1名を含む7名の言語聴覚士が、摂食・嚥下障害に関する患者さんやご家族からのご相談を受け付けています。

  1. 評価

    ①簡単な飲み込みの機能の評価(スクリーニングテストの実施)

    ②全身状態・症状の評価

    ③食事場面の観察

    ④嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査
    どちらも飲み込みの過程や状態を詳しく評価するための検査です。

    嚥下造影検査

    造影剤を含んだ食べ物を食べているところを、レントゲンで撮影します。食べ物がどのように喉を通っていくのか、詳しくみたいときに行います。嚥下造影検査によって飲み込みの機能を正しく評価することで、食事の形や姿勢など、安全に食べるための条件を見つけていくことができます。

    当院では1年間におよそ250件の嚥下造影検査を行っており、おひとりおひとりの患者さんの症状に合わせた食事摂取方法をご提案しています。入院患者さんはもちろんのこと、外来患者さんについても検査を受けていただくことができます。主治医の先生にご相談ください。

    嚥下造影検査

    嚥下造影検査

    嚥下内視鏡検査

    鼻から細長いカメラを入れて、喉の動きを観察する検査です。検査は短時間で、痛みもほとんどありません。喉の中の状態をよく観察する必要があるときに行います。

  2. 対応策や訓練

    評価から、問題点を出し、対応策や訓練を行います。

    ①食形態の工夫

    ②食器・食具の工夫

    ③食べるときの姿勢や方法の工夫

    ④確実な栄養摂取法の確保

    ⑤口腔ケア(歯磨き)

    ⑥心理的サポート

    ⑦医療スタッフ・家族・在宅支援者への説明

    ⑧口や喉の運動機能の改善
    飲み込む力の強化、咳の力の強化、唇や舌の運動機能の改善を目的に行います。

  3. 様々な職種との連携

    神経筋疾患においては、「食べる楽しみ」をできるだけ長く持ってもらえるように関わっていくことが大切です。また、脳血管疾患においては、機能の改善に応じて、徐々に食事の形態を変化させたり、食事の回数を増やしたりする関わりが大切です。そのためには、継続的な評価を行い、病状に応じた適切な対応策を講じ、訓練を行って、窒息や誤嚥性肺炎を未然に防いでいくことが大切です。当院では、主治医、言語聴覚士、管理栄養士、看護師、理学療法士、作業療法士、放射線技師、在宅支援者らが協力し、共通の認識を持って、患者さんからのご相談を受け付けています。また、退院後も安全に食べることを継続できるように、ご家族や退院先に対して、嚥下機能の評価結果や対応策を書面とともにお伝えしています。

高次脳機能障害について
  1. 高次脳機能障害とは

    私たちの脳は、私たちが日々生きていくために必要な、非常に多くの機能を担っています。自分の考えをまとめたり、それを相手に伝えるための工夫をこらしたり、といった高度な機能も脳が担っています。

    こうした高度な脳の機能を「高次脳機能」といいます。新たに得た情報を、それまでに経験した知識や記憶と関連づけて理解し(これを「認知」といいます)、新しい情報として記憶し(記憶)、言葉を使って説明し(言語)、目的を持って行動すること(行為と遂行)を、脳がコントロールしているのです。

    しかし、脳卒中をはじめとする脳の病気、あるいは頭のケガなどにより、こうした機能がうまく働かなくなることがあります。これが「高次脳機能障害」です。高次脳機能は日常生活のあらゆる側面で必要な機能であり、その障害は日常生活に大きな支障となることが少なくありません。

  2. 高次脳機能障害の評価

    当院では、高次脳機能に対する診断と、評価およびリハビリテーションを行っています。

    評価は、はじめに患者さんの症状について、患者さんご本人やご家族からお話をうかがい、あわせて10〜15分で終了する簡単な検査(スクリーニング検査)を行います。その後、症状に応じて、認知・記憶・言語・行為などの詳しい検査(神経心理学的検査)を行います。

    高次脳機能障害の検査

  3. 高次脳機能障害の訓練

    高次脳障害は麻痺や骨折など外見でわかる障害とは異なり、周囲に気づかれにくく、想像しにくい障害です。そのため、障害に対し直接的に働きかける訓練に加えて、適切な情報を提供することにより、ご本人やご家族へ障害の理解を促し、また障害を持ちながらも安全に心地よく生活していただけるよう支援することが重要です。

    失語症の場合、「聴く」「話す」「読む」「書く」のいずれの能力が保たれているかを評価します。そして残存する言語機能を活用し、障害された言語機能を回復する訓練を実施します。それと共に、ご家族や周囲の方々に効果的なコミュニケーション方法についてお伝えします。ジェスチャーを活用したり、記号、絵などが描かれたコミュニケーションボードを使用したりといった、言語の代替となるコミュニケーション手段を提案することもあります。

    その他の高次脳機能障害についても、神経心理学的検査をもとに、お一人お一人の症状に合わせたリハビリテーションのプログラムを立てます。そして患者さんと周囲の方々、社会との間のコミュニケーションが改善していくようお手伝いいたします。

  4. 神経筋疾患の高次脳機能障害

    大脳皮質基底核症候群やアルツハイマー病では、失語症がみられる場合があります。またパーキンソン病や進行性核上性麻痺では、著しい注意機能の低下(ものごとに集中しにくくなったり、まわりの状況の変化に気づきにくくなったりすること)や視覚認知障害(視力に異常がないのにものがゆがんで見えたりすること)がみられることがあります。それぞれの病気に特有の高次脳機能障害の原因はまだ明らかではありませんが、多くの神経筋疾患では、全般的な認知機能の低下を認めます。

    当院の言語聴覚療法では、それぞれの疾患の進行を予測しながら、現在お困りの症状に対し、維持されている機能を活用していくことに重点を置きながら、訓練を行っています。

臨床研究について

当院は神経筋疾患の専門病院であり、神経筋疾患のほとんどに言語障害や嚥下障害が出ることから、多くの患者さんが言語聴覚療法を受けておられます。しかし、神経筋疾患は稀な病気のことが多く、その特徴や治療方法が十分にわかっていないことも少なくありません。当院の言語聴覚療法室では、これらの疾患についての臨床研究を行い、言語障害や嚥下障害の専門的治療法やその効果について検証しています。

〔これまでの研究実績〕

2015年

  • 小國由紀
    脊髄小脳変性症における肺炎発症リスクの検討
    (第16回日本言語聴覚学会・仙台)

  • 飯高 玄
    LSVT®LOUDにおける声の高さの単調さへの治療効果についての検討
    (第60回日本音声言語医学会総会・名古屋)

  • 荻野智雄
    ベッドサイド嚥下障害スクリーニング検査はパーキンソン病の肺炎発症を予測する
    (第56回日本神経学会学術大会・新潟)

  • 荻野智雄
    嚥下障害を呈した抗SRP抗体陽性壊死性ミオパチーの2例
    (第38回日本嚥下医学会・福島)

  • 金原晴香
    パーキンソン病および進行性核上性麻痺における嚥下障害に対する呼気筋トレーニングの有用性
    (第69回国立病院総合医学会・札幌)

  • 村上紗奈美
    胃瘻増設後も経口摂取を併用している長期経過パーキンソン病の一例:他職種と患者・家族の連携
    (第33回神経内科治療学会・名古屋)

2016年

  • 小國由紀
    特異なプロソディ障害がみられた大脳皮質基底核変性症の一例
    (第3回日本ディサースリア学術集会・大阪)

  • 飯高 玄
    日本語プロソディに対してのLSVT®LOUDの介入効果
    (第3回日本ディサースリア学術集会・大阪)

  • 金原晴香
    LSVT®LOUD Trainingを行った脊髄小脳変性症の一例
    (第3回日本ディサースリア学術集会・大阪)

  • 村上紗奈美
    胃瘻造設を行ったパーキンソン病患者における経口摂取再開に向けて
    (第34回日本神経治療学会学術集会・米子)

2017年

  • 小國由紀
    重度の嚥下障害を克服した抗アセチルコリンレセプター抗体陽性重症筋無力症の一例
    (第1回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会・大阪)

  • 荻野智雄
    栄養および嚥下スクリーニング検査はパーキンソン病患者の誤嚥性肺炎を予測するか
    (第32回日本静脈経腸栄養学会学術集会・岡山)

2018年

  • 荻野智雄
    パーキンソン病患者の嚥下障害に対する干渉波電気刺激治療の効果
    (第41回日本嚥下医学会・仙台)

  • 荻野智雄
    LSVT®LOUD治療後1年間の効果持続性についての検討
    (第59回日本神経学会学術大会・札幌)

  • 小國由紀
    失語症者への支援の取り組み
    (第19回日本言語聴覚学会・富山)

  • 金原晴香
    音響分析によるパーキンソン病患者の発話特徴の研究(第1報)
    (第19回日本言語聴覚学会・富山)

心理療法部門

心理療法部門とは

心理療法心理検査、および心理療法(狭義)を個別または集団に向けて行っています。

主な対象疾患

神経難病、脳血管障害、その他の認知症疾患、てんかんおよび神経症を対象としています。また外来では物忘れ外来、発作外来、スモン検診、臨床治験などに携わっています。

心理検査

各種心理検査を用いて、高次脳機能障害および心理的不適応を包括的に評価します。これらの結果は治療・療養および社会適応に役立てられています。

心理療法(狭義)

臨床心理学的手法を用いて、心理面接を行っています。心理的不適応を軽減し、情緒不安定や人間関係の改善を図り、社会適応を促します。
また必要に応じて、ご家族からのご相談も受け付けております。病院内外との連携や環境調整を図り、患者様がより社会に適応した生活を送ることができるように援助していきます。